健康診断前の食事は何時間前まで?8時間? 10時間?

健康診断の日の食事って、何時間前まで OK なんでしょうか?病院によって違っていて、8 時間でよかったり 10 時間だったりします。長いところは 12 時間も。
健康診断は午前と午後の 2 種類あり、朝 9 時の場合は前日 21 時までに食べれば良く、午前 11 時なら夜 23 時まで余裕があります。
でも午後 4 時の検査の人は、早朝 4 時以降食べたらダメなんですかね? まだ寝てますよ!?
だいたい 8 時間前でした
「健康診断 食事 何時間前」 で検索して出てきたお医者さんのページを見ていったところ、ほぼ 8〜12 時間の間でした。ということは、下限は 8 時間でいいかな?
そもそも、健康診断で午後検査の人は朝食を食べていいので、食後 6〜8 時間後くらいで検査をすることになります。なので最低 8 時間で良さそうです。
でも…もうちょっと短くできない?
8 時間前から食べちゃダメ!って言われると、緊張して何かの拍子にお菓子を口に入れてしまいそうです。よし、ちょっと落ち着こう…とコーヒーを飲んでるかもしれません。
実は検査項目の中で、直前の食事が強く影響するものはこの 3 つです。
- 空腹時中性脂肪
- 空腹時血糖
- 尿糖
これらのギリギリを攻めれば、本当の食事のタイミングが分かると思いませんか?ということで調べてみました。
中性脂肪
中性脂肪は食べ物の影響を強く受けます。食後 3〜6 時間程度で上昇が最大になり、その後、代謝の進行に伴い低下し、 おおむね 10 時間程度で食前に近い値へ戻る とされています。ただし、個人の代謝能力、体格、食事内容により差が大きいそうです。
中性脂肪の正常値とは 正確な測定のために健康診断では 10 時間程度の絶食後に採血を行うことが多いです。 健康診断でよく指摘される中性脂肪!下げるには?コレステロールとの違いは? - 丹野内科・循環器・糖尿病内科ブログ
脂肪は吸収に一番時間がかかります。人間の体内はほとんどが水分ですが、水がアブラを分解するわけですから。なんとも不思議な感じですが、胆汁が食器用洗剤の界面活性剤みたいな機能で分解して個別の栄養素として取り出し、中性脂肪として体に貯蔵します。
食後 8 時間だとまだ吸収中ですが…これについては後述します。
血糖
血糖値は食事直後に最も急激に変動します。最近だと「血糖値スパイク」という名前で有名ですね。食後 30 分〜1 時間程度でピークに達し、膵臓からのインスリン分泌により2〜3 時間程度で食前の水準へ戻ります。
糖の吸収は脂質と比べてシンプルなので、短時間で済みますね。
尿糖
おしっこに糖が出るやつですね。これは血糖の変動に連動するため、回復時間もおおむね 2〜3 時間程度とされます。
ちなみに、おしっこに糖が出ることを医療用文書では「下りる」といいます。なので尿糖について検索するとお医者さんのページで「尿に糖がおりる」と書かれていますが、最初は「尿に糖が降臨してるのか…」と思って読んでました。
| 項目 | 食後影響が残る時間帯 |
|---|---|
| 中性脂肪 | 10 時間〜 |
| 血糖 | 2〜3 時間 |
| 尿糖 | 血糖に依存(2〜3 時間) |
役者が出揃いました。中性脂肪が一番長い 10 時間超えとなっています。糖は 3 時間程度です。
ってことは、中性脂肪を含まない食べ物、つまり脂質を含まない食べ物ならセーフで、3 時間前まで食べられる?と思ったんですが、糖質からでも中性脂肪は作られてしまう(*1)のでダメなのでした…。純粋な脂質の摂取よりは少ないんですが、まぁノイズになりますからね…。
*1 過剰に摂取した糖質がグリコーゲンとして貯蔵されない場合は、脂肪組織で中性脂肪に変換されて貯蔵される。 基礎から学ぶ! スポーツ栄養学 P14
ではなぜ、中性脂肪が 10 時間を超えるかもしれないのに、8 時間で OK している医療機関があるのか?実は検査表の項目をよく見ると 「随時中性脂肪」と「※空腹時中性脂肪」 のように 2 種類あります。随時(いつも)と空腹時、両方チェックしてるんですね。
※印の意味は「サブ項目」ではなく、「必須項目」の意味なので、「空腹時のほうが必須」となっています。なっていますが、被験者を完全な空腹状態にするのって個人差もあって難しいし、ちょっとお菓子食べちゃったりする人もいるかも知れません。また、午後検査の人を朝食抜きにするのも、お仕事とかに支障が出そうですよね。
なので随時中性脂肪の方でもチェックしているのでした。ちょうど先日健康診断があり、午後の部だったのですが、朝食の時間を聞かれて「7 時」と答えると、何やら上の方にメモをしつつ 空腹時中性脂肪と空腹時血糖に取り消し線をしていました。なるほど、そもそも見ないんですね。
というような理由から 8 時間前くらいでもセーフなのでした。
ところで、前日の食事はどうなんでしょう?
先の 3 つは直前の食事でした。では、前日の食事はどうなんでしょうか?
- 高脂肪食: 翌朝の中性脂肪が高値となりやすい。
- 高タンパク食(肉類の大量摂取やプロテインなど): 腎機能(クレアチニン)に影響し得る。
- 塩分過多: 血圧の上昇につながる場合がある。
これらは極端な量の摂取に限られるのですが、中性脂肪、腎機能、血圧などの値が気になる人は、前日も塩分控えめで穏やかな和食にしておくと良いでしょう。唐揚げ定食とか焼き肉はまた別の日に。
前日のお酒は?
飲酒は肝機能、尿酸、中性脂肪など複数の指標に影響を与えます。
- 肝機能(AST, ALT, γ-GTP): 大量飲酒により値が上昇することがあり、48〜72 時間程度影響が残る場合がある。
- 尿酸: アルコール代謝により乳酸が増加し、尿酸排泄が抑制されるため、24〜48 時間上昇する可能性がある。
- 中性脂肪: アルコールは肝臓での脂肪合成を促進するため、翌日の採血値に反映されやすい。
ということらしく、前日だけじゃダメなんですね。これらの値が気になる方は 2〜3 日ほど禁酒するとよいでしょう。慢性的にお酒飲んでる人はそうそうすぐに下がらないのでそのまま飲んでても…(検査の意味がなくなるのでダメです 🙅♂️)。
じゃあ、ついでに運動は?
軽い運動は問題ないですが、高強度の運動はあまり推奨されていません。
- 尿酸: 激しい運動により乳酸が増加すると、尿酸排泄が抑制されて尿酸値が一時的に上昇する。
- 腎機能(クレアチニン): 筋肉のエネルギー代謝で作られる老廃物で、主に腎臓から尿として排出されるため、こちらも強度の高い運動をすると上がってしまう。
- 肝機能(AST, ALT): 強い筋肉負荷により、筋原性の AST/ALT が上昇することがあり、肝障害と誤判定される可能性がある。
そのため、前日は激しい筋トレや運動を避け、日常的な軽度の運動にとどめることが望ましいです。
まとめ
健康診断の前の食事は、最低でも 8 時間前までには終えておきましょう、という事でした。
また、厚生労働省の資料によると、
a 特定健康診査においては、空腹時中性脂肪は絶食 10 時間以上、随時中性脂肪は食事開始から 3.5 時間以上絶食 10 時間未満に採血が実施されたも のとする。
c 特定健康診査においては、空腹時血糖は絶食 10 時間以上、随時血糖は食事開始時から 3.5 時間以上絶食 10 時間未満に採血が実施されたものとする。 健診作業班における主な変更点
となっていて、10 時間以上空いていないと空腹時の方を見てもらえないんですね。僕は 7 時に朝食を食べましたが、検査が 10 時間以内だったので空腹時の方は除外されたようでした。なるほど。
最適な食事タイミング
【午前検査の人】
- 前日 21〜23 時までに食事を終える
- 空腹時中性脂肪を測定できる(推奨)
【午後検査の人】
- 朝食は 8 時までに軽めに
- 空腹時中性脂肪は測定不可、随時で代替
【前日の注意点】
- お酒:2〜3 日前から控える(肝機能・尿酸に影響)
- 高脂肪食:避ける(中性脂肪に影響)
- 激しい運動:避ける(クレアチニン・尿酸に影響)
厳密に診断したい人は、午前の予約を取ると良さそうです。ただみんな午前の予約したがるのでなかなか取れないんですよね…。









