成分表示によく見かける「キサンタンガム」って何?

お菓子とかドレッシングとかに 「増粘剤(キサンタンガム)」 ってよく書かれています。ずっと「キタンサン・ガム」と読んでいたので、きっと「希少な炭酸のガムなんだな」と思っていました。または「キタサン・ガム」かとも思っていて、競馬のキタサンブラックみたいなモノかな?と思っていました。
どっちも違いました。
Xanthan(キサンタン) Gum(ガム) でした
想定外の単語が由来でした。Xanthanがすでに読めません。サンタン?あなたの「キ」はどこから?私は、車のHIDライトで使われるXenon(キセノン)から、みたいなことを考えていました。テラフォーマーズの1号搭乗員 ゴッド・リーのハイドロキノンは Hydroquinone で Q でした。
で、キサンタンって何?なんですが、「微生物が糖類を発酵させて作る粘っこい物質」らしいです。予想外すぎる。生物を経由してできるあたりが、はちみつ(ミツバチの唾液)、コピ・ルアック(ジャコウネコの消化管を通ったコーヒー豆)みたいなモノっぽいですね。
「糖類を発酵させて」とあるんですが、トウモロコシなどを使うようです。トウモロコシ、便利ですね。バイオエタノールにもなるし、増粘剤にもなると。トウモロコシがよく使われるのは、アメリカにあるコーンベルト - Wikipediaが示すように、大量に作りやすいから、というのもありそうですね。漫画のDr.Stoneで見ました。
で、入手しやすい糖類を 「キサントモナス・キャンペストリス」 という微生物に発酵させて作るから、キサンタンガムという名前らしいです。自分で何を書いているのかサッパリわかりません。キサントモナス…?キサント……キサン……きさんら、許さんわい!
キサントモナス・キャンペストリスって何?
大根やキャベツなどの病気である黒腐病(くろぐされびょう)の原因になる菌らしいです。マジで?普段は土の中にいて、葉っぱの穴とか茎の傷口から侵入して枯らしたりするやつだそうです。
黒腐病|ストック(アブラナ科)|病害情報|調べる|タキイ種苗株式会社
えっ、っていうことは、黒腐病にかかった植物がヌルヌルになってて、そこから「これ何かに使えるんじゃない?」って調べてるうちに、キサンタンガムが発見された…ってコト!?
そうらしいです。正確には「USDAが『便利な微生物のガムないかな?』と探していたらヒットした」なんですが、菌がいる部分にヌルヌルができるようで、お風呂の赤カビみたいな感じでしょうねきっと。ああいうのを調べてるうちに、毒性ないし、耐熱性あるし、これ便利そうだぞ?ってなったっぽいです。ヤベーな化学王国。
アロエや海藻のヌルヌルと何が違うの?
ヌルヌルするもの、世の中に結構ありますよね。ぱっとイメージするものだとアロエジェルとか、昆布のヌルヌルです。それぞれ得手不得手があるようですが、 一番の違いは「耐塩性」 でした。アロエも海藻もヌルヌルは作れますが、塩を混ぜると性質が安定しません。海藻はもともと塩水の中にいるくらいなのでばらつきはあるようですが、キサンタンガムの方が比較的安定して塩に強いので、とくに食品系で使おうと思ったら超強力な個性だったんですね。
他にもキサンタンガムは 「pH耐性が高い」「冷水で使いやすい(粘度が変わらない)」「加熱しても安定している」 など、食品加工において非常に便利な特性を持っているようです。冒頭に貼ったドレッシングを見ながらこれを書いていますが、料理の塩加減、加熱調理、冷菜サラダ、とか考えていくと、キサンタンガムが圧勝するのもわかる気がします。なんと冷凍解凍にも対応しているようで、無敵すぎる。
生産供給が安定している
アロエや海藻は収穫してこないとダメですし、採取した時の気候などにも左右されそうです。これがキサンタンガムになると、トウモロコシを集めてきて発酵させるだけなので、安定してるんですね。トウモロコシはたくさん用意できるし、微生物が安定して動ける環境さえ用意しておけばOKです。すごく工業製品っぽいですね。
北米南米の肉が安いのも、広い土地があるだけでなく、飼料となるトウモロコシが大量に安く手に入るから、というのもあるそうです。ドクターストーンの千空が北米を最初に目指したのもわかる気がしてきますね。
キサンタンガムの他の特徴
検索してすぐに出てくるのは 「シュードプラスチック性(流動性)」 というやつで、一読して理解できなかったし、今もよくわかってないんですが、 静止状態では粘り気があるのに、食べる時に汁になる みたいな事らしいです。ドレッシングなんて、かけた時のドロっとした感じは変わらないと思っていたんですが、変わってるんですか!?!?!!? うそやろ!??
しかも、静止状態で高い粘性がある利点として、沈殿防止の効果があります。固形分などが均一に混ざったまま保存できるので、ご家庭でいちいち振らなくてもいいのは便利ですね。
また、保存容器内では粘度が高く安定しているのに、押し出したり流したりする時は粘度が下がるので、注ぎやすいんだそうです。今もドレッシング容器を見ながらこれを書いていますが、容器から出てきた後、サラダに載って安定した時は粘度がまた上がってるってことなんですね。そんな素材が存在することなんて気にしたこともないので、驚きです。
キサンタンガムの弱点
こんな便利な最強物質であるキサンタンガム、アレルギーも起こしにくく人体への悪影響も少なく、食品だけでなく化粧品などにも使われるくらいなのですが、弱点はあるんでしょうか?
少ないながらも幾つかあるようで、その一つが「入れまくっても固形にならない」らしいです。寒天なんかは濃度を上げまくると粘性の高いものになり、最終的に固形になりますが、キサンタンガムはずっとネバネバのままらしいです。まぁ固めたいなら寒天使えばいいので、別に大した弱点じゃないんですが…。
個人的に考えた弱点は、 名前が天然食品っぽくない(化学製品っぽい) じゃないかなと思いました。元はただのとうもろこし由来の糖で、それを発酵させただけのものなので、納豆とかキムチの親戚みたいなものじゃないですか。でも「天然のアロエから作った」とか「天然の昆布から作った」というヌルヌル製品があったとして、「天然のとうもろこしから天然の微生物が発酵させてできた」ヌルヌル製品、しかも名前が「キサンタンガム」だと、なんとも工業製品っぽいです。化学調味料が嫌いな人にも嫌われそうな感じがしますね。
まとめ
ということで、謎の増粘剤「キサンタンガム」の正体に迫ってみました。雑なイメージだと、はちみつとかローヤルゼリーみたいに、生き物を経由してできた物質なんですが、生成過程を追ってみるとだいぶ工業製品でした。
実はクエン酸やアミノ酸もバイオ系の生成方法で作っていて、クエン酸はクロコウジカビの仲間に糖を食わせる、アミノ酸はコリネバクテリウム・グルタミクムに糖を食わせる、みたいな感じで作られているようです。要するに、微生物を使った工業製品なんですね。
Amazonでも増粘剤として売られていて、ニチガやマルゴといったメーカーから出ています。上の製品のカテゴリは ビューティー›スキンケア・ボディケア›スキンケア・基礎化粧品›化粧品原料・原液 になっていますね。製品画像を見ると「手作りコスメ、保湿剤に」とありました。手作りドレッシングから手作りコスメまで、何でもできますね。
1点だけ注意点として、混ぜる時には少量ずつ入れる方が良いです。大量に入れるとダマになりやすいので、あせらずちょっとずつ使うとよいでしょう。少量でも片栗粉などと比べて早く粘度が出てくるので、焦らずに少しずつ調整するのがコツです。









