今回もクレベリン絡みで。一般家庭で使われているハイターなどの漂白・除菌剤は次亜塩素酸ナトリウムというアルカリ性の水溶液です。「酸」とついてるけどアルカリ性なんですね。酸化することでウイルスを不活化させるので殺菌効果もある、という仕組みなんだそうです。
で、空間除菌グッズの一部にこれが使われていて、汗と反応して化学やけどした…という話もありました。
https://shimashimanoneko.com/2015/12/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6%E3%82%84%E9%A2%A8%E9%82%AA%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%AE%E7%A9%BA%E9%96%93%E9%99%A4%E8%8F%8C%E3%82%B0%E3%83%83%E3%82%BA/
この時に次亜塩素酸ナトリウムのWikipediaのページを見ていたんですが、ゴマに対する使用は禁じられている
という一文が目に留まりました。すぐ後ろに理由が書いてあって、これは白ゴマを漂白し、より白いゴマとして高値で販売されていたことへの名残であり、今でも禁止されている。
なんだそうです。
ハイターやブリーチのパッケージに書いてあるらしい
らしいです。家にあったキッチンハイター、ハイター、ワイドハイターEX、カビキラーを確認してみましたが記載は認められず。この中でワイドハイターだけ酵素系だったのでそもそも素材が違いました。業務用っぽい見た目の物に書いてあるのかな?と検索したらありました。
こちらのケンミックス4という商品、いかにも業務用っぽいみためで、裏面の写真も載っていました。
拡大すると
本剤は「ごま」に使用しないでください。
あったー!
ページ内検索すると載ってたー!
次亜硫酸ナトリウムもダメってありました。こちらも漂白剤なんですね。
ゴマを漂白させる
今では黒ゴマも白ごまも値段変わらないですが、昔は白いほうが貴重だったそうで、黒ゴマを漂白して売っていたそうです。白はうまく栽培できなかったとか、輸入するのが大変だったとかの理由があるんでしょうね。
その辺はさておき、実際に漂白させている人がニコ動にアップしていました。3分くらいの動画でさくっと見れます。ちゃんと農林水産消費安全技術センター(長い)に確認を取るあたり、できるうp主ですね。黒ゴマが出てきた時に「ネズミの糞」というコメントが出てきてなるほどと思いました。
黒ごまを漂白してみた – ニコニコ動画:GINZA
これを見るとそれなりに手間がかかるようなんですが、その手間をかけても高く売れた時期があったんでしょうねぇ。
ずっと使ってるホーロー鍋を気紛れにハイターしてみたら驚くほど白くなって、私は今もうれつに感動している。
— ごま (@kin_goma) August 31, 2010
(複雑な状況だ)
Wikipediaでゴマの項目を見る
考古学の発掘調査から、紀元前3500年頃のインドが栽培ゴマの発祥地である
日本で使用されるゴマは、その99.9%を輸入に頼っている
国内有数の産地である鹿児島県喜界島では、8-9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する
などなど、衝撃的な内容がいくつかありました。ゴマは昔から健康に良い食材と認識されていたんですね。小さいのでトッピング扱いが多くて、最近はあまり食べていない気もします。「アラブ料理のごまパン」として載っているパンがおいしそうです。
「ゴマに関する言葉」というところにも面白い内容がありました。
「アラビアンナイト」の中の一話、「アリババと40人の盗賊」に出てくる、秘密の洞窟の扉を開ける掛け声が「開けゴマ」(英語ではopen sesame)。これはアラビア語の افتح يا سمسم (Iftaḥ yā simsim)」を訳したものである。肛門を意味する古アラビア語 سمة (simma)に由来し、元来は成句として性的な意味を持っていたとする説がある。
ゴマ – Wikipedia
開くのはケツの穴だったんですね(@@;
ノロウイルスへの効果
国立医薬品食品衛生研究所報 第129号(2011) 37-54にノロウイルスの不活化に関する研究の現状というレポートがまとまっています。加熱、紫外線にガンマ線、次亜塩素酸ナトリウム、アルコール類超音波などなどでテストした結果が載っています。現状では次亜塩素酸ナトリウムがいちばん入手しやすく使いやすいようですね。
ノロウイルスは培養ができないので、似た種類で培養のできるウイルスを使って実験しているそうです。そのウイルスの名前がネコカリシウイルスとかイヌカリシウイルスという名前で、英語ではfeline calicivirus
とあり、「カリシウイルス科」の内の猫が感染するウイルス、というのはわかったんですが、どうしてもこの字面を見ると「私がネコカリシ頃…」とかそんなことばかり頭に浮かんでしまいます。
ノロウイルス対策については、業務用の石鹸や衛生製品を作っているメーカーのサイトがすごくわかりやすいカタチでまとまっていました。
5つの対策でノロウイルスをやっつけろ!ノロウイルス予防対策|sanitation|サラヤ株式会社 企業法人向け
上のレポートの中に「ポビドンヨード」も載っていたんですが、イソジンのページには軽めにしか書いてありません。ノロウイルスはケツから出て手から口へ運ばれる事が多いから控えめなんでしょうか。レポートはポビドンヨードで手洗いっぽかったので、ちょっと違うのかもしれませんね。あとイソジンのブランドが明治からシオノギ製薬に移るそうで、明治のサイトがどうなるか気になります。【公式サイト】イソジン|株式会社 明治
ノロウイルス特効の消毒液を探す
一番有名なのはこれでしょうか。
テレビでも紹介されたことがあって人気がありますね。うちにもありますw
酒造会社ならではの純水使用で極めて純水度が高く、酒精77度の除菌スプレーです。
酒精はエタノールのことなので、高純度のアルコール除菌スプレー(カテキン入り)という感じです。エタノールとアルコールの違いって何?となりそうですが、
最初に「アルコール」として認識された物質はエタノール(酒精)である。この歴史的経緯により、一般的には単に「アルコール」と言えば、エタノールを指す。
アルコール – Wikipedia
だそうでした。厳密にはアルコール類としていろんな種類があるけど、一般的にはアルコール=エタノールなんですね。エタノールは有機溶媒、有機合成減量、消毒剤などの様々な使い方があり、濃度によって分かれています。
- 10%: 工業用
- 22%:飲用
- 68%: 燃料用
- 80%前後: 消毒用
- 99.5%: 無水エタノール
消毒に使うには薄すぎても濃すぎてもだめで、80%前後の濃度が必要になります。パストリーゼ77の「77」はアルコールの純度を表しているので、消毒用にちょうどいい濃さなんでしょうね。
パストリーゼは「上質なアルコール」「カテキン」「南極観測隊が使ってる」「パティシエも使ってる(食品に使える)」というニュアンスで聞くことがありますが、最後のパティシエの所、
プロのパティシエが愛用
ドーバー洋酒貿易㈱は、お菓子作りに使う洋酒においてトップシェア。
衛生環境に特に気を遣う、プロパティシエにご愛用品!
ドーバー パストリーゼ77
となってて、「ドーバー洋酒貿易が扱ってる洋酒がパティシエに使われてる」という意味だったのでオゥ!となりました。別の説明書には食品に直接噴霧してもOKとあったので、パティシエはお菓子に振りかけないけど一般家庭は好きにしたら良いよという感じでしょうか。コンビニ弁当なんかには保存料としてアルコールを使いますし、酔うほどの濃度ではないので別にいいんでしょう。菓子パンなどでも袋を開けるとアルコール臭いものがありますしね。メジャーな保存料です。
アルコール(エタノール)でガラスを拭く
Amazonのレビューを見るとガラスを拭いている人がいました。テレビでもアメトーークでガラス拭きとして紹介されてたようです。アルコールは水にも油にも馴染みやすいので、油を分解して拭き残しがないんでしょうね。今度やってみようかな。
そういえばスマホのガラス保護フィルムを買うとアルコールシートが付いてきますね。ガラスの指紋がきれいになってました。なるほど。
で、ノロに効くの?
パストリーゼは「効く」と書いていますが、上の方にも貼ったレポートによると、
3.4消毒剤
3.4.2 アルコール類
アルコール類のうち消毒・殺菌に最も一般的に利用されているエタノールでは、50%・3分、70%・3分、80%・5分、75%・5分の作用でネコカリシウイルスが4log10以上不活化されたとする報告がある一方、10~100%の濃度、1、3、10分間の作用で効果を比較し、すべての条件で2.3log10(9.49%)以下の減少しかなかったとする報告もみられる。
また、ネコカリシウイルスおよびイヌカリシウイルスを用いて70%エタノールの効果を経時的に調べた実験では、8分で2log10以下、30分で3log10、60分で5log10以上の減少がみられ、エタノールの効果にはある程度の作用時間が必要とする報告もある。
(中略)
以上のようにアルコールの不活化効果に関しては報告によりかなり違いが認められている他,種々のアルコール製剤に関しても有効性が認められるものとあまり認められないものが報告されている。
ノロウイルスの不活化に関する研究の現状
という感じでなんとも言えない感じなんですよね。効いたり効かなかったり、効いても時間がかかったりなので、予防の時点では手に吹きかけたり、食器類や台所の除菌(ついでに消臭)の用途で使う分には良さそうです。ただ、感染者が出たらちょっと物足りないと思います。吐瀉物を片付けてシュッシュして1時間近寄らないとか、自宅じゃ無理そうだし。あとパストリーゼってフローリングにこぼすと白くなるんですよね。
次亜塩素酸ナトリウムの希釈溶液
こういう商品がありました。こちらは次亜塩素酸ナトリウムなので、ノロに対して確実に効果があります。が、濃度が200ppmなので、パストリーゼと同じように調理器具や床、トイレのドアノブや便座にシュッシュする感じになります。除菌と消臭効果もあるので普段使いができますね。ちょっと塩素臭いそうです。
吐瀉物に対しては1000ppmの濃さが必要になるので、結局はハイターから自作しないとダメなんですね。消毒液の作り方や注意点は各自治体のページに上がっていて、検索で上の方に出てきたのを適当に貼っておきます。
吐瀉物凝固剤というものがある
吐瀉物を片付ける時、ほぼ液体なので掃除が大変ですね。そのための凝固剤という商品がありました。
なんでダジャレやねんという感じですが、凝固させつつウイルス失活効果もあるそうなので、もしもの為にひとつ家に置いておくと良いかもしれません。レビューを見ても概ねいいかんじでした。片付けやすくなるだけでもだいぶ楽になりそうです。保育園や幼稚園では常備されてるかもしれませんね。