風呂の追い焚きは何回(何日)まで許されるのか?

お湯を張ったバスタブ

追い焚き機能のない風呂を使っていた時は翌日に洗濯で使い、残ったお湯は捨てていました。追い焚きできるお風呂になってから、「はて、これは何日まで繰り越せるんだろうか?」という疑問が湧いてきました。

2日目にバスタブの底がヌルヌルになっていてギブアップしました。

「追い焚き」の意味の勘違い

「追い焚きできる風呂」と聞くと、なぜか無意識に「翌日も水道代を節約してエコ」みたいに考えてしまいます。「お湯を捨てる」という行為がすごーーーーくもったいなく感じて、捨てない代わりに何か節約できたような気になるんですね。

追い焚き機能って、お湯を2日も3日も使い回すための物じゃなくて、お風呂を用意した当日に入る家族が最後まで快適に入れるための機能なんですね。4人家族だったら4人目もホカホカのお風呂に入らせてもらえる、そういう目的で作られたんじゃないかなあ、と思いました。

メーカーサイトにも「お湯を最低3日間使い回せます!」とか書いてない

中の人に「当たり前だ!」と怒られそうですが、書いてませんでした。お風呂メーカーのLIXIL、トクラス、クリナップ、タカラ、パナソニックのページをざざっと読んでみて追い焚きに関する所を見ると、揃いもそろって「断熱がいいので追い焚き回数が減ってエコ」みたいな事しか書いてありませんでした。

給湯器のメーカーはどうなんだろう、と調べてみると、「追い焚きにかかる金額は◯◯」とかしか出ませんでした。どこも推奨してないし、禁止もしてないんですね。

追い炊きとお湯入れ替え、どっちがオトクなのか

追い炊きはお湯を捨てないからオトクだよね!?と直感が言っています。どうなんでしょうか?

調べてみると、室温まで冷めたぬるま湯を40度まで温めるのと、新規で水から温めるのでは数円しか違いがないそうです。差がでるのは水道代になるんですが、これも土地によってぜんぜん違うみたいで、水が綺麗なところは安く、都会みたいに浄水設備にお金がかかる場所は高くなります。なので、水道代が安い地域でケチってもあんまり得しないかも…という微妙な結果に。

ガス代も、都市ガスなのかプロパンガスなのかで変わってきます。プロパンガス+水道代の高い土地に住んでいる人は、そもそも家で入るよりスーパー銭湯行ったほうが安い、という悲しい話もありました。

という感じで、住んでいる場所によって条件が変わってくるので、一概にどっちがオトク!という結論は出せませんでした。

数日に渡る追い炊きは衛生的にどうなの?という話

追い炊きに対する衛生面の指摘があります。僕も実際ヌルヌルになって気持ち悪かったので、このお湯で頭洗うのは嫌だなぁ…と思ったりしました。

追い炊き派の人の意見を見ると、「別に濁っていない」「臭くなっていない」「水道水の塩素で微生物は既に死んでいる」「菌がいるって言うけど死んだ人いない」「うちは10年前から追い炊き」という感じのものが多くありました。

実際まわりでも数日間追い炊きしてる知り合いがいて、別に病気になったりとかもないので、どうなのかなぁ…?と調べてみました。

浴槽のヌルヌルは雑菌

突然ですが、うちは金魚を買っています。金魚の水槽の中に、フンを分解させる「バクテリア」を入れます。バクテリアがいないとゴミが溜まって水が汚れるらしいので、こういうのを入れています。ホームセンターやペットショップに行くと普通においてあります。

で、バクテリアが増えてくると水槽壁面やポンプ内部とかがヌルヌルになってくるんですね。ヌルヌルが出てきて「やった!バクテリア定着した!」とかやってたんですが、浴槽もあれと同じでした。35〜40度くらいが一番増えやすい温度なので、バクテリア…と書くとアクアリストには良い響きですが、いわゆる雑菌が増えてたんですね。

レジオネラ菌

風呂ネタで調べていくと「レジオネラ菌」という菌の話題がいくつか出てきました。これで死んだ人がいるとかいないとか書いてあって、真相はどうなんだろう?ということで、この辺を読んできました。

だいたいどこも同じことが書いてありました。引用元はどれなんだろう…。千葉県のが読みやすかったです。

要点をまとめるとこんな感じでした。

  • レジオネラ菌は肺に入って肺炎を起こす
    • ただし霧状のものを吸い込まなければ大丈夫(飲んでも肺に行かないので)
    • 肺炎のタイプでは死亡例がある
  • 発熱の場合もあるが、そっちはすぐ治る
  • 乳児と50〜70代がかかりやすい(免疫が弱いから)
  • 女性より男性がかかりやすい
  • 患者報告数は記録が出ている2007年から増↑減↓増↑減↓増↑増↑増↑増↑と、最近は増加傾向
  • 日本でも毎年数人が死亡している
  • 感染源は温泉などの入浴施設と超音波加湿器

報告されている感染源は温泉などが多いみたいですが、一般家庭の給湯器内でも不衛生にしていると感染しそうではあります。あと加湿器は盲点ですね。

なぜ温泉や入浴施設に多いのか?

多分ですが、広かったり入り組んでいたりして、掃除するのが大変だからでしょうね。歯みがきと一緒で、丁寧にやっているつもりでも掃除のブラシが届かない所とか、隙間とかに雑菌がたまって、レジオネラ菌も一緒に増えちゃったのかなと思います。

レジオネラ感染症は1976年に出てきた新しめの感染症で、日本では2003年に予防すべき感染症に指定されました。最近はどこの温泉のお湯も塩素臭くて「せっかく山奥の温泉に来たのに興ざめだなぁ…」と思うことがよくあるのですが、感染症予防のために塩素投入が増えてたんですね。

レジオネラ菌は肺から進入するので、シャワーやジャグジーなど、水が霧状になる場所で感染しやすくなります。質問サイトで「汚い風呂に入ると尻から感染しそう」と書いてる人がいて「ふむ…一理ありそう」と思ってましたが、尻からは入ってきませんでした。よかった。

超音波加湿器で感染の話

Wikipediaの感染事例を見ると、一番上に「大学病院で新生児が3人発症し、1人死亡」と載っていました。この時の感染源が加湿器だと考えられています。他にも一般家庭で加湿器を使用していた60歳男性の死亡例もあります。

加湿器の種類は大きく分けて4つあって、

  • 熱い蒸気が噴出するスチーム式
    • 電気を食うけど衛生的で手間いらず
  • ぜんぜん湿度が上がらない気化式
    • 電気代は安いし本体も安いがメンテが面倒
  • 気化式にちょっと熱を加えたハイブリッド式
    • 電気代は安いが本体が高い、メンテが面倒
  • 熱も出ないし電気も食わない 超音波式
    • 電気代も本体も安いが手入れしないと感染する

となっています。

昔はスチーム式と気化式しかありませんでしたが、10年くらい前から超音波式が登場し、電気代が安く、熱を使わないので安心、ということで人気が出ました。

超音波式は便利ですが水を加熱しないので、本体内に汚れ(ピンクのぬめり等)が発生したまま使うと汚染された水が部屋中に広がっていきます。特にレジオネラは水蒸気の中(エアロゾルというらしい)に混じっているので、レジオネラ噴出装置になってしまうそうです。怖いですね。

(蛇足) どの加湿器が良いのか?

家族構成や生活スタイルによります。自分だったらこうするかな、という選択基準です。

  • 若くて一人暮らし → 使用頻度も少なそうだし免疫力もあるので「超音波式」。たまに掃除しようね。部屋が小さければ小型の「気化式」もアリ。
  • 子供がいない夫婦 → お金がありそうだから「ハイブリッド式 or スチーム式」
  • 子供がいる家族 → 衛生面を考えて「スチーム式」
  • 老夫婦 → お金があれば「ハイブリッド式」、手入れが面倒なら「スチーム式」

個人的に、一番ラクなのはスチーム式です。象印がポットを改造したような加湿器を出していて、電気は食いますがしっかり加湿してくれます。出てくる蒸気に気を使う必要もないし、臭くないし、内側にカルキの塊が付きますが、春になって片付けるときにクエン酸を入れてスイッチを押すだけできれいになります。ほぼメンテナンスフリーですね。

以前はこういう気化式を使っていましたが、フィルターの掃除が面倒で使うのをやめてしまいました。

バケツの上に扇風機がついただけのシンプル加湿器です。レビュー評価も高いので使い方が悪かったのかな…?と思うところもありますが、うちの場合はバケツの底にピンクぬめりが発生し、フィルターも黒ずんでしまい、ザリガニの水槽みたいな臭いが出てくるようになってしまいました。

マメに掃除したりフィルターを変えるようにしましたが、今度はフィルター代がバカにならない気がして使うのをやめてしまいました。

ということで、追い炊きは何日まで許されるのか?

  • 免疫に自信があるなら好きにして良い
  • 家族に乳幼児、50代以上の人間がいる場合は当日利用まで

という感じでした。

もし節約目的で追い焚きする場合は、お住いの地域の水道代をチェックしておくと精神的に楽になると思いますよ。でも、水のきれいな地域の人はあまり期待しないほうがいいかも…?

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