高音系(チリチリ、ピー)の耳鳴りの原因を見つけて克服した

7〜8年ほど前から右耳の耳鳴りで悩まされてきました。大学病院でも診てもらいましたが原因が分からず、ずっと治せないでいました。酷い時は音で眠れなくなることもあり本気で悩んでいましたが、僕の場合は筋肉が原因だったため、治すことができました。

長くなりそうなので結論を3行で説明すると、

  • 原因は肩甲挙筋のコリ
  • コリの原因は姿勢の悪さからくるストレートネック
  • アゴをひいて筋肉への負担を減らすことで解決

という流れで改善させました。耳鳴りの原因は多いらしく、僕と違うタイプだとこの方法はたぶん効きません。でも同じタイプなら治せるかもしれない。耳鳴りはホントにつらかったので、困ってる人に届くといいなという願いを込めて僕の体験を残しておこうと思います。

順を追って説明します。

耳鳴りを自覚

7〜8年ほど前、奥さんが隣の部屋にいる時に「チリ…チリチリ…」という音が聞こえてきました。当時はブラウン管の小さなテレビを使っていて、起動中は小さいノイズ音がしました(テレビを消音にするとよくわかる)。その音が壁越しに聞こえてきたので「テレビ見てるの?」と聞いたところ、テレビは付いていませんでした。

チリチリ音がテレビのノイズにそっくりだったので、初めはどこかの家のノイズが聞こえてきているのかな?と思っていました。ところが、誰も起きていないような夜中の時間帯にもチリチリと聞こえてくるようになり、そのうち音が大きくなって「ピピッ、ピーピピーピー」というような、モールス信号のような音になってしまいました。

音が聞こえるのは右耳のみで、不思議な事に右を向くと音が大きくなり、左を向くと止まります。就寝時に気になる時は左を向いて寝るようにしていましたが、少しずつ悪化していたので大学病院で診てもらいました。なぜいきなり大学病院かというと、「耳鳴り 治療」などで調べると検査が大変そうで、小さな病院の施設ではわからないかも?と思ったからです。

大学病院での診療結果

「特に異常はない」との事でした。耳鳴り闘病日記でよく見るように、僕もビタミン剤をもらいました。病院では外科的(?)に耳の器官を中心として診査するため、その器官に見た目の異常がなくてもとりあえずビタミン剤で血流を良くして改善の可能性を見る、という感じだったと思います(うろ覚え)。

処方されたビタミン剤を全部飲んでも改善はしませんでした。

鍼治療に行く

西洋医学がダメなら東洋医学だ、というありがちな発想で鍼治療を試しました。あやしげな健康食品は絶対やりませんが、鍼はなんとなく大丈夫な気がしています。で、近所でいくつか見つけて、とりあえずちょっと安いところを選んで行ってみました。大体5,000円が相場のところ、4,000円くらいでした。

鍼灸師の先生に「耳鳴りがすること、大学病院で診てもらったこと、顔を向ける向きによって音が変わること」などを伝えると、「顔の向きで変わるなら、原因は筋肉かも…?」という見立てになり、右側の首と肩に鍼を打ってもらうことになりました。その際、「このツボはここだったかな…?」と本を片手に打ってくださり、ああ、他より1,000円安いのはこういうことだったんだなとちょっと後悔しながら治療してもらいました。

1回の治療では特に改善せず、先生も「耳鳴りは難しいから…」と敬遠気味でしたが、お願いしてもう1度診てもらいました。2回目ではお灸をやってもらいましたが、特に改善せず、鍼治療もやめにしました。

運動する

「ジョギングすると耳鳴りが少し弱まる」というのを偶然発見しました。毎回ではないのですが、30分ほど軽めに走ると、全身が軽くなって耳鳴りも少し落ち着きます。鍼灸師の先生も「筋肉が原因かも」と言っていて、僕もデスクワーク中心のお仕事でいつも肩コリだったので、できるだけ肩コリしていない状態を増やせば改善するかもと期待して続けました。

ジムにも通っていたので、水泳と筋トレも続けてみました。ジムに併設のマッサージを受けた時に「肩や背中の筋肉が硬い。あと左右でバラツキがある」と指摘されて、クロールでの息継ぎを左右交互にしてみては、という提案を受けました。しばらく続けてみましたが、よくなる時もあれば変わらない時もありました。ジムの時はむしろ変わらない日のことが多く、運動しているのになぜ…?と疑問でした。

自分でツボ押しする

耳鳴りが徐々に悪化してきたため、肩や首の筋肉について調べ始め、ツボの位置も合わせて覚えました。円皮鍼もこの頃知り、愛用するようになりました。
ファロスとセイリンの円皮鍼で手軽に鍼治療した話とその効果 - しましまの猫

鍼灸師の先生の言うように筋肉が原因であれば、耳周辺につながっている筋肉をほぐせば解決しそうです。耳を引っ張ったり、顔から頭全体をマッサージしてみたり、耳の裏や首のうしろのツボを押したりさすったりしていました。

この頃に、一時的ですが即効性のある方法を見つけました。「耳の後ろからうなじにかけてバンテリンを塗る」と言うものです。どの成分が効いているのかわかりませんが、他の軟膏ではなぜかダメで、バンテリンだと効果がありました。ただ3時間程度で効果が切れてしまうので、眠りにつけない時に使っていました。

塗る場所は、ツボで言うところの完骨(かんこつ)、解剖学的に言うと乳様突起(Wikipedia)、一般的な例えで言うと美容室でマッサージしてもらう時に、頭を両手でつかんで親指で首のあたりの頭蓋骨の付け根をグゥーーッと上に押してもらうと気持ちいいあたりです。

偶然「ストレートネック」の記事を読む

時系列的には前後するかもしれませんが、肩コリ対策を調べている時に「ストレートネック」という言葉を見つけました。猫背でアゴが前に出てしまう姿勢になっている人が該当するそうで、肩コリの原因にもなっているそうです。パソコンやスマホをよく使っている人に多いそうですが、どこかの記事によるとその姿勢は日本人全体に多く、海外に行ってアジア系を見た時に、日本人かどうかは姿勢でわかるそうです。

ストレートネックの対策記事を見てみると、「指でアゴを押しもどす」というものや、「寝る時にバスタオルを丸めた物を首の後に敷く」といった物がありました。頭を正しい位置に戻し、首の湾曲を再矯正するようです。どちらも日常的に取り入れやすかったので、日々継続しました。

このあたりから耳鳴りに改善が見られ始め、原因はこれだったのか、と思うようになります。

ふたたび悪化する

ジムはお金がかかるので辞めてしまいました。その代わり家で筋トレするようになったのですが、腹筋ローラーか腕立てふせをすると、止まっていた耳鳴りが再発することに気が付きました。ジム通いしていたときも筋トレ後に首から肩が筋肉痛になっていて、いよいよ原因は筋肉か?と絞り込めてきました。

筋トレを控えて、アゴ引きとバスタオル枕を続けると、再び耳鳴りが静まります。ほぼ止まっていた状態で腹筋ローラーをすると、翌日の筋肉痛と共に鳴り始めます。

腹筋ローラーが効果を及ぼす筋肉はいくつかあるようですが、手前に戻す時に肩と首にすごく力を入れていました。解剖図みたいな筋肉の図を見てみると、肩甲挙筋という筋肉が原因らしいことがわかりました。どうもこの筋肉が硬直すると、付近の神経を圧迫して耳鳴りにつながるようです。

肩甲挙筋について調べる

肩甲挙筋の解剖図 後ろから 肩甲挙筋の解剖図 横向き
Levator scapulae muscle - Wikipedia

筋肉の本や、解剖学の本をいくつか読んでみました。Webで調べるとマッサージ屋さんの断片的な知識しか出てこないので、困ったときは図書館などで本をいくつか当たった方が早かったりします。

で、首から肩にかけての筋肉で、さらに耳までつながっている物を調べてみると肩甲挙筋(Wikipedia)という筋肉が出てきました。小さめの筋肉で、肩甲骨を上に引き上げる時に使われるそうで、肩をすくめる動作で伸縮します。面白いことに、複数の本に「肩コリの原因になる筋肉」とも書いてありました。確かに、自分の手で首をマッサージする時にこの辺りを揉んでいますし、実際気持ちいいです。まさか首までつながっていたとは。

ちなみに、耳の真下から肩に伸びる胸鎖乳突筋(Wikipedia)という筋肉もあり、これも耳の近くにつながっているので疑ってみましたが、僕の場合ここは関係ありませんでした。原因が見つかるまでは、ここも必死でマッサージしたり暖めたりストレッチしたりしてました…。

肩甲挙筋をほぐす

東洋医学のツボも、解剖図を見れば特定の筋肉を指しているだけだったりします。耳鳴りや肩コリに効くという「風池、翳風、完骨」などのツボは肩甲挙筋の付け根とほぼ一致していました。マッサージをする時も、ツボよりは筋肉の位置を意識して触っていました。

首と頭蓋骨の付け根をマッサージする際、「テニスボールが良い」という解説をよく目にします。良いには良いのですが、押す面がやや広くて首の奥の筋肉にうまく当たりません(解剖図の通り、肩甲挙筋は少し奥に位置しています)。長年肩コリ持ちの僕は肩・首用の健康器具も持っていて、こちらの方が効果がありました。

中山式 快癒器 2球式 強弱機能付 首筋 肩用

中山式快癒器の首用です(4球の腰用も持っています)。これの上に仰向けになり、首と頭蓋骨の付け根のあたりに当て、顎を引き気味にして力を抜きます。それを5〜10分程度やるとだいぶスッキリして、耳鳴りも落ち着きます。中山式の説明書に「乗ったまま(睡眠の方の意味で)寝るな」と書いてあって、寝る人いるのかな…と思いながら開封したことを覚えていますが、油断すると寝ます。

もう少し攻めたい場合

クッション型の電動マッサージ器も持っていて、耳鳴りが酷い時はこれを首に当ててゴリゴリやる時もあります。ソファや布団の上に置いて、マッサージ機を首に当てて動かします。首の付け根から頭の方まで、少しずつ位置を変えながら15分ほどマッサージします。やりすぎると逆にめまいがしてしまうこともありますが、適度にやると頭が軽くなります。クッションなどを併用して、頭の高さを調整して使っています。

肩甲挙筋をリラックスさせる(就寝時)

バスタオルを丸めた枕

寝る時の枕もいくつか試しました。寝る前は耳鳴りがなっていなくても、寝ている間に肩が凝ってしまうのか、朝になると鳴っていることがありました。普通のそば殻や低反発クッションなどを使ってみましたが効果はなく、ストレートネック対策として有名なバスタオルを丸めた枕を使いました。

バスタオルをキツめに丸めて、適当な紐で縛り、首の後に当てて寝ます。寝ている間に首の自然なカーブを再矯正してくれますが、僕の場合は首の筋肉もリラックスするのか気持ちよく、よく眠れるようになりました。ただ欠点があり、横向きになると全然意味がありません。耳鳴りの改善がだいぶ進んだ今では、バスタオルを折りたたんだだけの物を枕として使っています。

バスタオルを折っただけの枕

肩甲挙筋をリラックスさせる(仕事中)

ストレートネックを意識するようになってからは、自分の姿勢も注意するようになりました。人間の骨はS字のように湾曲していて、これがいい感じに体重を支えている、いわば骨に乗っているようなイメージだそうです。ところがストレートネックの場合は骨の性能を100%活用できないため、周りの筋肉を使って体を支えることになります。

常に筋肉が重い物を支えていて、疲れてきて硬直する。硬直する場所が神経の通るあたりだと、神経から変な信号が伝わってしまい、痛みとかシビレとか耳鳴りとして出てしまうようです。

デスクワークの際、猫背でアゴを突き出した姿勢によくなっていました。これをやると頭の重さを首と肩の筋肉で支えることになり、小さな肩甲挙筋も動員されてすぐ肩コリになってしまっていました。

姿勢を治すにあたり、まずはアゴを指で押し戻して、首がS字カーブになるよう位置を調整しました。ストレートネックについて調べていた際に、どこかで紹介されていたやり方です。これをやると猫背ではまったく座りにくくなるため、首のS字を活かした座り方を模索しました。最終的に「椅子に深く座り、リクライニングは多めに倒す」という姿勢に行き着きました。車の運転席に座っているような感じです。

一般的な姿勢の良い状態、背筋を垂直に伸ばした座り方でも良いのですが、短時間ならともかく、あれを長時間キープするのはかなり辛いです。オフィスチェアは結構後ろに倒せるので、自動車の椅子のように大きめに倒し、座面は両足がしっかり床につく所まで下げて座っています。肘掛けもあればなお良しです。

また、首や肩が疲れてくる予兆を感じたら、早めにストレッチをするようになりました。肩コリになってからでは遅いので、予防のような感じです。前述の中山式やオムロンのマッサージ機も積極的に使って、できるだけ首の疲れをためないように注意しています。

その他気をつけていること

子供を長時間肩車すると耳鳴りが再発しました。肩甲挙筋を知った後だったので、肩に乗せている時の筋肉の動きを感じていたところ、バランスをとるために頻繁に肩をすくめていました。そのため、子どもにはちょっとかわいそうですが耳鳴りのことを伝えて納得してもらい、乗せるなら短時間ね、とお願いしてあります。

あとがき

耳鳴りの原因を突き止めて、自力で治して、予防方法も見つけたよ、というお話でした。今ではだいぶ調子がよく、数週間鳴っていない事もよくあります。でも、横着してつい悪い姿勢を続けてしまったり、夏に向けて筋トレだ!と腕立てふせをやりすぎたりすると、また数日間は右耳から「チチ…チリチリ…」と聴こえてきます。

原因を見つけるまでにかなりの時間がかかりました。最初のうちは「耳鳴り 原因」で調べていたと思いますが、これだと話題にしている耳鳴りの種類が多すぎて特定できません。そのため早い段階で病院に行き、耳が機能的に問題ないことを確かめました。

その後、偶然入った鍼灸院で「筋肉かも?」というアイデアを頂き、筋肉やツボについて調べていきました。「耳鳴り 筋肉」「耳鳴り ツボ」などで検索すると、「過トレーニングで耳鳴りしていたので緩めました」「耳鳴りに効くツボはこれ!」というような断片的な知識だけが見つかるのですが…。

ツボは手当たり次第試しました。耳の後ろの髪の生え際あたりにある翳風(えいふう)と完骨(かんこつ)の2つのツボはたまに効果があり、ここに円皮鍼を刺したり、バンテリンを塗ったり、寝る前に10〜20分ほどマッサージしていたことをよく覚えています。

右耳周辺の筋肉を毎日さわり続けていましたが、普段の姿勢の悪さからくるストレートネックが原因だったという、当初は想像もつかなかった所に問題がありました。ジョギングしたりマッサージでほぐしたりしても、悪い姿勢で毎日欠かさず負担をかけていたので治らないはずです。

ストレートネックの改善を始めてからは展開が早くなりました。問題となっている筋肉と仕草がはっきりしたので、そこを潰していくだけで変化があったのです。

耳鳴りを患っていて、耳の器官的にも異常なく、精神的なストレスもない人は、もしかすると僕と同じ筋肉由来かもしれません。アゴが上がっていたり、頭が前に出てしまっていたりする人は、ストレートネックから来る肩コリが原因かもしれません。

もしそうなら、普段からアゴを人差し指で押し戻すようにして、短い時間で良いので軽めのジョギングを日常に取り入れ、バスタオルを丸めた枕を首に当てて寝てると改善するかもしれませんよ。耳鳴りから卒業できることを願っています。

あとがきのあとがき

これを書きながら、姿勢について思い出したことがありました。実は僕、O脚と反り腰もあるのです。体の上から、ストレートネック、猫背、反り腰、O脚、と酷い姿勢のオンパレード。耳鳴りも腰痛も患うわけです。

O脚については、4年前に買ったこの本を試したらいきなり改善しました。レビュー頼みのダメ元だったのですが、股関節の歪みが取れたのか足の付根が真っすぐになったのです。寝る前に開脚とかのストレッチはしていたんですけどね…。古い本なので、今だと1円で買えます。

これ系の健康本はたくさん出ているせいで信用していなかったのですが、効く本は効くんだということをレビューの数が証明してくれました。猫背反り腰体の歪みなども検索して、レビュー数が多かったり、評価が高い本を試してみると、これらも治るのかもしれません。

また、僕のように意外な部分、意外なクセが耳鳴りの原因になっていたりするかもしれないので、余計な心配事を増やさないよう体を正常な状態に近づけておくと、原因究明が早まるかもしれませんね。

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